はちみつの時間―寝起きの本音―
「ねえ、遼(りょう)。ひざまくらしてあげる。こっちきて」 自室のベッドの上に座り、佑羽(ゆば)はそう言って手招きをした。 年頃の男子としてはおいしいのか困ってしまうのか微妙なシチュエーションだが、せっかくの佑羽の誘い…
「ねえ、遼(りょう)。ひざまくらしてあげる。こっちきて」 自室のベッドの上に座り、佑羽(ゆば)はそう言って手招きをした。 年頃の男子としてはおいしいのか困ってしまうのか微妙なシチュエーションだが、せっかくの佑羽の誘い…
「はあ……何やってんだろ私」 深いため息をつき、すっかり暗くなった空を映し出している川を見つめながら、佑羽(ゆば)はそう呟いた。その視線はどこを定めるわけでもなく、ただ川の奥を向いていた。 今日は久しぶりの下校デート…
2月14日。 この日は朝から皆そわそわしてて、好きな子の行動をお互いに気にしてる。綿飴みたいに甘くてふわふわとした空気に包まれている感じが何だかいい。 それに、女の子がすっごくかわいく見えるんだよね。好きな人のために一生…
まさか。あの男が言っていたことは本当だったのか。 追手から逃れた遼太朗たちが、一息ついた時だった。止血をしようと佑羽の傷口を見て違和感を抱いた。確認のために服を脱がす。 露になった肩からは、既に血が流れることはなか…
ピピッという電子音の後に1班上原から連絡が入った。それは地下ルートの確保と、そこにある朧の存在、そして2層となっている地下1階部分にある制御室に向かうという内容だった。地下に向かった方が得ようとしている資料も多いことか…
「うー、寒い」 手を擦(こす)りながら駅から流れ出してくる人の群れに、何度目かの視線を向ける。 ようやく奥から手を挙げてこちらへ駆けてくる男性の姿を見つけると、彼女は安心したような笑顔になった。 「ごめん、待った?」…