10.寿命が短くなるって、マジ?|晟
聖が呼ばれた理由はこれだったんだ。イベントホールの事件や、智孝が言っていた次の任務(・・・・)のメンバーに入っていないことに疑問を抱いていた晟だったが、聖の語る魄や朧についての説明を聞いて納得した。中でも、朧と魄は元々…
聖が呼ばれた理由はこれだったんだ。イベントホールの事件や、智孝が言っていた次の任務(・・・・)のメンバーに入っていないことに疑問を抱いていた晟だったが、聖の語る魄や朧についての説明を聞いて納得した。中でも、朧と魄は元々…
今日も雨が降っている。 憂鬱以外の感情の持ちようが無い僕は傘を開くと学校を後にした。 雨は、嫌いだ。 視線を地面に落とすようにして歩き出す。 そんな僕を擦り抜けて雨の中でも他の生徒達は賑やかな笑い声を振りまいて…
はあ~~~~。 放課後、教室に戻ると机に突っ伏すようにして大きな溜め息を吐いているクラスメイトに遭遇した。 「どうしたの?」 近付き、そう声を掛ける。 顔を上げた彼女が僕の顔を見上げると 「あ、聖くんか。ん…あの…
『珊瑚の指輪を左小指にしていると運命の相手と出会えます』 ――私もこの指輪で最高の恋人と巡り会えました―― ――今度、結婚します。全てはこの指輪のお陰です―― 雑誌の広告にあるこんな言葉を読むと、自分の左…
彼女はマイクをテーブルの上に置くと間近にいる男性に微笑みかけた。 彼は同じように笑みを返すと音楽と映像が流れ出したテレビへと顔を向ける。 その音楽、歌詞に聞き覚えがあった海白彩は歌っている恋人を見つめた。 『初めて…
「なんか彩先輩とこうしているのが、すごく不思議」 樫倉晟はそう言うと夜空を見上げた。 「どうしたの?急に」 海白彩は驚いて発言者を見つめる。 ベンチに座って二人で暖を取ろうと温かい缶飲料を口にしている時に、晟はふと…
「ねえ、彩先輩。先輩の家はお雛様とか出すの?」 海白彩は樫倉晟の誘いを受けて、彼の部屋へ遊びに来ていた。 クッションの上に座っている彼女の隣りに腰を下ろした晟はそう質問すると、彩は微笑んで「もちろん」と答えた。 「じ…
素敵な仲間達と迎えたクリスマス。こうして一緒に集まってパーティをするのは初めてのことだったが、昔からのイベントのように違和感なく懐かしい気分で一時を過ごした。 帰宅の時刻となり一通りの片づけを終えると、晟(せい)は佑…
「感情や感覚は言葉にして初めてわかるものなんだ。だから、言葉を失うと、感覚そのものがわからなくなってしまう。魄は言葉を喰らう存在だと思えばいい。この『言葉を守る』という意味合いもあって俺達は『言守(ことがみ)』とも呼ばれ…
非常ベルの音が鳴り響き、続いて何かがぶつかる音や物が壊れるような聞き慣れない衝突音がすれば、会場内はいよいよパニック状態になった。正面玄関へ向かおうと避難する人々が互いを押し合い、もつれるようにして会場を後にする。突然…