Love Case -アイのいれもの-– category –
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Len*Ren
彼と私と天の川
「はあ……何やってんだろ私」 深いため息をつき、すっかり暗くなった空を映し出している川を見つめながら、有羽(ゆば)はそう呟いた。その視線はどこを定めるわけでもなく、ただ川の奥を向いていた。 今日は久しぶりの下校デート。いつもと雰囲気を変... -
Len*Ren
バレタインのプレゼント
2月14日。 この日は朝から皆そわそわしてて、好きな子の行動をお互いに気にしてる。綿飴みたいに甘くてふわふわとした空気に包まれている感じが何だかいい。それに、女の子がすっごくかわいく見えるんだよね。好きな人のために一生懸命になってる姿なん... -
Len*Ren
はちみつの時間―スローペース―
最悪だ。いつものバカみたいな元気が、どうしてこういう時に限ってなくなってしまうんだろう。玖堂()はぼーっとする頭でそんなことを思った。 今日は共通の知り合いたちと来たスキー旅行の初日である。恋人である智孝()に、筋肉痛を起こすまでスキーを教わ... -
Len*Ren
25cm
いつの間にか恒例となっていたお隣さん同士での花見。初めの頃はお弁当を作ってと、本格的なものであったが、次第に互いの都合がつかなくなり、夜の散歩がてらにという気軽なものへと変わっていった。そして、それに参加するメンバーにも変化が伴う。特に... -
Len*Ren
愛しき人
子供の頃から毎年もらっていたバレンタインのチョコレート。 お隣さんだからという、ただの義理チョコだった。 去年も、OBとして母校である高校の部室に顔を出した時、集まったメンバーたちと一緒に食べた。 テーブルの中央に、徳用物のように山盛りに積... -
ONE SCENE STORY
僕の世界(とびら)を開く鍵
女顔というものは、性格によって「かわいがられる」か、「からかわれる」かに分かれると思う。誰にでも笑顔を向け、人懐っこい性格ならば前者。僕はと言えば、明らかに後者の方だった。 幼い頃は、かわいいというだけでちやほやされる。だけど小学生ともな... -
ONE SCENE STORY
劣等感ていうのは、自分だけが感じるものなんだよ
私は、自分の中に流れる女の血が嫌いだった。男に溺れた母親のようにはなるまいと、必死で自分の中の女を排除してきた。感情の赴くままに動かず、女だからと甘えず、男にバカにされないよう対等に渡り歩こうと生きてきた。だから必死で勉強をした。努力を... -
ONE SCENE STORY
死にたいんじゃない。死んでもいいから守りたいんだ。
全身が痛い。 もう、指一本動かすことも出来ない。 意識が吹っ飛びそうになる中、先生の声が聞こえた──「逃げて」って。 逃げないよ。 暴力を受けることしか生きる価値がないと思っていた僕の考えを正してくれた先生。 そんな先生を置いて逃げたら、きっと... -
ONE SCENE STORY
回収作業
「全機能停止を確認。回収に入ります」 黒く濁る瞳を見つめながら、僕は上官にそう報告した。上官は僕が任務完遂することが当然であるかのように、さほど興味もなさそうな声色で了解の意を告げ、通信を切る。 頭部を潰され、ピクリとも動かず横たわるそれ... -
ONE SCENE STORY
いじめられるのは「弱いから」じゃないよ
初めは、聞き間違いかと思った。 でも、彼女ははっきりと言った。 「いじめられるのは、弱いからじゃないよ」 どういう意味なのか? と眉間に皺を寄せる。 「立場的にとか、肉体的にっていうのはあるけど、本当は強くて優しい人だからだよ」 ますます言っ...