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16歳の私と水子地蔵
私は今、産婦人科にいる。 その空間は不思議なもので、新しく宿った命を喜ばしく思う温かい空気に包まれたり、これからその未来が来るようにと願っている少し張り詰めた風が流れたり、ボールがポーンポーンと跳ねるような活発な空間に変化したりと何だかせ... -
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女応援団長の気愛
いいか。 お前らは、強い。 誰を前にしても、決して折れない心がある。 だから、絶対に負けねぇ。 それに、うちにはいい女がいる。極上の女だ。 そんな女の前で情けねえ姿見せんじゃねーぞ。 とことんカッコつけろ。 女のために戦え。 そして、惚れさせろ... -
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シュールな下ネタストーリーですが、何か?|小説の書き方|例文
水族館で『ちんあなご』を眺めている私たち。 私は同じ方を向きながらただよっている『ちんあなご』に目が釘付けだ。 「何でちんあなごって名前にしたんだろうね? だって、『ちん』に『あな』だよ。ヤバくない?」 友達が言った。 「きっとこの名前を考... -
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優しい人になるために
もしかしたらと思った。 もしかしたら、優しい人っていうのは、たくさん傷ついてきた人かもしれない。 感受性が豊かで、たくさん傷ついてきたから、人の痛みをたくさん知っていて。だから自分が「痛い」と思った言葉を人に言わないだけなのかも。 そして、... -
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これからあなたを騙します
【僕は誰?】 1.7月2日 相野たける 僕のクラスに、ひときわ存在感を放つ女子がいた。 とはいっても、騒がしいわけでもとびきり美人というわけでもない。どちらかというと大人しく、友達の話を静かに微笑みながら聞いているタイプだ。体育の授業でいい成... -
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私は『悪』になる
「ヴィル様、いつも楽しそうですね」 少女が言った。 ヴィルと呼ばれた男は、少女の言葉に対してなのか、はたまた目の前にある一畳ほどの鏡に映るものを見てなのか、不敵に笑う。 「私の正義は彼らのそれとは正反対だからね。正反対のもの同士がぶつかると... -
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契りの果ては
「かーごーめ かーごーめ かーごのなーかの とーりーは いーついーつ でーあーう……」 侍が河原に腰を落とし、懐かしむような哀しむような気を纏いながらゆっくりと唄っていた。 傍らで草を踏む音が鳴り、続いてまだ幼さを残した少年の声が降り注いだ。 ... -
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15個のカノジョ
僕たちは二人で一人の作家であり クリエイターであり エンターテイナーだ 僕が目を瞬かせて見つめれば、彼女はまばたき一つせずにじっと見つめる 僕がぼーっと空を見上げれば、彼女はじっくりと現実を見る 僕が小さなことに感動すれば、彼女はそれらを当然... -
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廃棄処分にして下さい。
私は、欠陥品だった。 欠陥品というと聞こえは悪いが、ある一定の水準までは達しているが、まだ改善の余地ありと判断されるレベルのものだ。 私は、人との触れ合いが激減し、その感覚や感情を認識させることを目的として造られたロボットだった。 私は、ロ... -
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麗らかな恋の花
春。 桜が咲き始めた頃、私は学校を卒業した。 卒業式も無事に終わり、学校生活最後を名残惜しむようにして、卒業生達は校舎やら校庭やらに集まっていた。 先生方に挨拶を済ませた私は、特に用はないと生徒達の間をくぐり抜け門を出る。 「志奈(しな)ー!...
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