海白彩– tag –
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Len*Ren
ヒナ・マツリ
「ねえ、彩先輩。先輩の家はお雛様とか出すの?」 海白彩は樫倉晟の誘いを受けて、彼の部屋へ遊びに来ていた。 クッションの上に座っている彼女の隣りに腰を下ろした晟はそう質問すると、彩は微笑んで「もちろん」と答えた。 「じゃあ…ひし餅とか、あと白... -
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ウタニ ササゲル-Sakon’s side-
終業式も間近に迫った12月中旬。 部活で使用する雑多な資料を抱えた海白が立ち話をしていた。 「(…神谷くん)」 密かに想いを寄せている男性の姿を見つけて、彩の鼓動は早まる。 しかし普段通りの聖に比べ、少し深刻そうな表情を浮かべている晟の... -
Len*Ren
雨上がり
梅雨とはいえ、これで何日間降っているのだろう。 そんな溜め息が聴こえてきそうな雨の中、野田実春(のだ みはる)は近所の商店街の中を傘を差して歩いていた。 「全く…よく降るよな」 誰ともなく呟いてしまうのは、彼の心も晴れることが無いからだろう... -
Len*Ren
桜切符
夕闇に彩られた公園内の広場では、あちらこちらで宴会が始まっていた。それを避けるようにして、ドーム状に広がる桜並木の道を海白彩(うみしら あや)と神谷聖(かみや ひじり)の両名が歩いている。彩は雪のように舞い散る花弁を受け止めようと手を差... -
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平行線
くらりと身体が揺れた。自らの頭を軽く押さえて神谷聖(かみや ひじり)は机に手を置く。 「大丈夫?聖くん」 優しい女性の声が彼に掛かる。聖は椅子に腰を降ろしながら大丈夫だと答えた。 「ちょっと熱っぽいだけだから」 しばらく休めば治るだろう、そ... -
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強引|Sakon’s side
互いの息遣いが聞こえてきそうな程の至近距離。 目前に愛しい人の瞳があった。 まるで時間が止まってしまったような感覚に襲われて、身動きが取れない。 上手く呼吸が出来ない中で視界の隅に見える、曇っている空模様が心を写し出しているような気がした。... -
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想いを伝えて
色とりどりのイルミネーションが鮮やかに煌(きらめ)いて街の夜を彩(いろど)る。彼らが外へ出た時は、既に辺りは真っ暗だった。 「寒~い」 暖房の効いていた建物から出てきた為、余計にそう思うのだろう。海白彩(うみしら あや)はそう言ってマフラ... -
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ウタニ ササゲル
文化祭も終わり、紅葉がちらほら見え始めた11月。私はお気に入りとなっている中庭に足を運んだ。休み時間や放課後にここを利用する生徒の数は、先週と比べてぐんと減っていた。すっかり肌寒くなったからなぁ……大きく息を吸った私の胸に冷たい空気が流...
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