短編小説– category –
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3:四つ葉のクローバー|君がいたから
それから真己は本当によくしてくれた。私が学校に慣れるまでは──といっても、実際は卒業まで一緒に登校してくれたり、何か困ったことがあったら助けてくれたり、遊び仲間に加えてくれたりもした。 私にとってスーパーマン的な存在である真己でも、かわいら... -
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2:最悪な第一印象|君がいたから
私、榎本菜々子(えのもと ななこ)と真己は、幼馴染みということもあり、私が7歳の頃からの付き合いだった。 ちなみに真己とは同い年である。それなのに8年しか一緒にいられなかったのは、私たちが中学二年生の頃、真己のお母さんの仕事の都合で、引っ... -
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1.帰宅|君がいたから
6月28日。 その日は梅雨時にもかかわらず嫌味なほど晴れていた。 火葬場から天へと昇る煙を見つめ、私は一時間程前に別れを告げた人を思い出した。 本橋真己(もとはし まさき) 私の幼馴染みで、家族のような存在でもあった彼は、一言で言えば面倒見... -
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最終シーン|女という性(さが)、紅の血
「はいこれ、正吾から。野中さんに渡してくれってさ」 「ありがとう、堀江さん」 あれから一週間近くが過ぎ、私は正吾から頼まれた野中さん宛の小さな紙袋を、今まさに手渡していた。 昼休みの裏庭。人の影も少なく、まだ熱が冷めやらない私はチャンスとば... -
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シーン3|女という性(さが)、紅の血
「うあっちぃ!!」 「バカ正吾! 何やってんのよ!」 化学の実験での出来事。 正吾は、今の今まで熱していた金属皿を素手で掴んでしまった。使っていない皿と間違えたとはいえ、なんてことをしてるんだろう。 当の本人も予想外のことだったらしく、驚い... -
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シーン2|女という性(さが)、紅の血
「堀江(ほりえ)、倉持(くらもち)知らないか?」 部長に声をかけられ、私は倉持正吾(しょうご)の居場所を告げた。 「さっき水飲み場で見かけましたけど」 「随分長いな。まさかさぼってんじゃないよな?」 「はは、ちょっと怪しいですね。彼女の姿も... -
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女という性、紅の血
キーンコーンカーンコーン…… 4時間目の授業が終わり、生徒達は各々行動を開始する。私は今の授業のノートをとるのに時間がかかり、未だ机に向かったままだが、後ろの席にいる野中泉(のなか いずみ)さんは例外ではなく、友達二人と話をしながら昼食を机...
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